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2018.11.18 / 加工商品

一杯のお茶碗の物語

「一杯のお茶碗の物語」

 

愛媛県西条市は、市内のいたるところで

天然地下水がこんこんと湧き出る

自噴地帯が広がっている日本でも希有な場所。

 

地元では、

「うちぬき」と呼ばれる伏流水の自噴井戸が、

なんと約2,000箇所もあり、

その水を求め、遠方から来る人々が絶えない。

 

しかも、その水は、

西日本最高峰 石鎚山からの伏流水で、

市内にある神社のうちぬき水は、

二年連続おいしい水の日本一に輝いた実績もある。

 

そんな水の都 西条で

12代にわたって米農業を営む首藤さん。

 

6年前から自然栽培に取り組み、

今年で7年目となる。

 

父親の代は、

農薬も化学肥料も普通に使用した農業だった。

 

幼き頃、農薬散布の後の父の苦しそうな姿を見た。

 

家族を養う父の姿を誇りに思いながら、

心配をしたり、複雑な気持ちが入り乱れていた。

 

社会に出て、農薬、化学肥料など一切使用しない

自然栽培をいう考え方に出会うことが出来た。

 

自分の理想に出会えた瞬間だった。

 

そして、自然農法について学び、

実践していくにつれ、

地元の環境汚染や日本の食糧事情まで

農業が背負うべきものの大きさに気づかされてきた。

 

農業がただの食糧生産だけでなく、

たくさんのことを自分が学び得たように、

伝えていくことも農業の仕事。

 

そう思えるようなってきたという。

 

「首藤さん、若い人たちに何を伝えたいですか?」

最後の質問を問いかける。

 

「一杯の茶碗の中に、

たくさんの人の想いと力が詰まっている。

そう想いながら食べてほしい。」

 

熱く語ってくれた首藤さん。

 

今ある恵まれた自然環境を後世に伝えていく。

 

それも農業の仕事なのだという自負のある言葉だ。

 

首藤さんのお米、大豆は、

農薬も化学肥料も有機質の肥料さえも

畑に入れない無施肥自然栽培。

 

しかも、固定種と呼ばれる

昔から伝わる種を自分で採って増やしてきた。

 

自家採種すれば、その地域の環境や

育ってきたすべてを記憶させることができる。

 

暑かったこと、寒かったこと。

その土地で生まれ、育った記憶を刻み、

何世代にもわたり繋がれていく命。

 

そんな命の循環を未来に紡ぎたい。

 

それは何年もの時間がかかることだけど、

自然を守り、人の営みを未来へ繋げる自然栽培。

 

そんな一役を担うために、

これからもこの農業を続けていきたい。

 

一杯のお茶碗の中には、

こんなにすてきな物語が詰まっている。

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