column
2018.08.16 / その他
第1回親子で学ぶ!夏休み自由研究プロジェクト<後記>
~未来の自分に繋げ。 夏休みの一日体験。~
私の家の真横には、お隣さんの田んぼや畑、
小鳥たちがつくった小さな木々が茂っている。
朝は、小川のせせらぎに交じり合うセミの鳴き声で起き。
夜は、田植えの頃に眺めていたおたまじゃくしの親→ 蛙の合唱を
BGMにして眠る。
香川県郊外に住んでいたら、それも珍しい情景ではないだろう。
『人と田んぼ』
これについて知りたい人は、
エアコンの効いた部屋で、パソコンや本の活字を眺めて学ぶよりも、
自分の足で「田んぼ」に行くのが一番だ。
今回の学び場所はこちら。
大野原町 荒木さんの自然栽培米「田んぼ」と。
山の木々に囲まれ源流に近い「沢」だった。
学び時間の半分を、「田んぼ」で。
あとの半分は、「沢」で。
彼らの足の裏は終始。
好奇心に満ち溢れていた。
「田んぼ」で見つけた生きものを。
こんなんおったで。
と、見せてくれたり。
好奇心も旺盛だ。
キラキラと陽射しがこぼれる「沢」に移動して、じっくり観察する。
この日見つけた生きものたちは、数十種以上。
珍しい生きものにもたくさん出逢った。
きっと初めてみたであろう生きものの名前を知り、
はしゃぎまくる子供たち。
興味津々の彼らに寄り添う大人たち。
も、楽しんでいる。(もちろん私もだ。)
あっという間の2時間。
イベントも終盤にさしかかった頃。
講師 谷川さんが、子供たちに問いかけた。
『あと50年経って、この豊かな自然と田んぼがなくなっていたら。
一体どんな社会になっているだろう?』
・田んぼがないけど、畑はある。
・米を輸入して食べている。
・魚が絶滅。
・田んぼでしか生きられない生き物が死んでいる。
・生態系のバランスが、崩れている。
・気候変動への影響もある。
50年後、58歳になっている彼ら。
小学生とは思えない答えが飛び交った。
崩れた社会に生きる私たちの未来(社会)は、
きっと明るくはない。かもしれない。
ならばどうすればいいのか。
を、みんなで考える。
ひとつ。
「田んぼ」がなくならないように
すればいいじゃないのか。
実際、荒木さんの「田んぼ」にも
無数の生態系が存在することを知った。
荒木さんによると。
田んぼで生きる生きものたちが
増殖・活性化することで、
土ごと発酵が起こり、トロトロ層が形成される。
土壌中のミネラル成分などが溶け出して、
イネや微生物に利用されやすい状態になる。
トロトロ層の中は、
乳酸菌などが作り出す有機酸の濃度が高いこと、
また、雑草のタネが、この層の下に埋没しやすいなどの理由で、
抑草にも役立つそうだ。
やはり、
人と田んぼを切り離すことはできない。
食べものだって、生きている。
農業・農村は、私たちが生きていくのに必要なお米や野菜などを
生産する役割を果たしているのだ。
しかし、それだけではない。
田んぼや畑、農村のまわりの自然は、
私たちの生活に大切な役割を持つ。
それは、「農業の多面的機能」と呼ばれ、国の政策にも関わる事柄だ。
荒木さんのように、
米をつくり続ける農家さんは、なくてはならない存在なのだ。
そして。
私たちは、ちゃんと米を食べる。ことだ。
この日、帰り際にみんな、
荒木さんから贈り物をもらった。
体験ののち手にするお米はずっしり重く、
その一粒一粒を大切に想えた。
講師 谷川さんは言う。
「この日の体験で、
大切なことに気づいた8歳が、50年後、
この国の行く末を決める人間になっているかもしれない。
単に、生きものがおもしろいではなく。
単に、生きものの名前を知って欲しいことでもなく。
この世代の子供たちに、現実を知ってもらいたい。
沢の水は、冷たい。
田んぼの水は、温かい。
子供のときに、それを全くしないで大人になるのと
一回でもこの経験をした子供は、違ってくるのだ。」
と。
それぞれの目的に合わせて沢山の人が集まって。
暮らしに何をどう取り入れるのか、大切なものを見つけていく。
そんな一日となった。
親子で学ぶ!自由研究プロジェクト夏休み生きもの観察会
来年も開催します!
~それぞれが担っている何かと出逢える場所を育てるために~
*
田舎暮らしの私にとって、
今回のイベントは、正直、特別楽しみ。。。
というわけでもなかった。
カメラのレンズをのぞき続けて2時間余り。
イベントを終える頃には、すっかり心が洗われ、
普段あまり真剣に考えもしないことを考えていた。
*
講師:谷川 徹 氏『農と生きもの研究所』