column
2018.09.25 / その他
迫田刃物の真髄
待ってくださるお客様がいる。
興味があれど、
まだこの包丁を手にしたことがない
お客様もたくさんいる。
すべての方に、今一度、
<迫田刃物>を知ってもらいたい。
~本物を知る~
何度も研ぎながら
ずっと使い続けるほどに
良さがにじみ出る和包丁。
それはまるで、最良の友のよう。
和包丁は、
日本の伝統的技術の代表ともいうべき
日本刀の歴史に由来し、
原料は砂鉄を原料とした『和鋼(わこう)』と
よばれる鋼から作られている。
そして、その鋭利さは世界に類を見ない。
『和鋼』の原料グレードは幅広く存在する。
「青紙(あおがみ)と呼ばれるものは、
原料鋼のグレードであり、
料理職人などが愛用している。
最も硬度・摩耗性が高く、
最高級グレードである。
しかし、いかに優れた鋼を使用しても、
その素材を生かす経験と技術が無ければ、
その鋼はもろく、脆弱なものとなってしまう。
だから。
古来より、和包丁を作る上で
「鍛冶」と「研ぎ」が
最も繊細で重要な工程と言われる
ゆえんである。
「鍛冶」は鋼を鍛え
その素材の良さを最大限引き出すこと。
「研ぎ」は鍛えられた刃物の鋼材の
最高の状態を引き出す事と言える。
鋼材のグレードが高くなるほど、
火入れ温度・時間によって
質が善くも悪くもなっていく。
「研ぎ」の技術は、
言葉で伝えることの出来ない
非常に繊細な作業工程と言えるのだ。
「研ぎ」の失敗によって
いかに優れた鋼材の包丁も脆く、
さびやすい性質のものとなってしまう。
つまり、本当にその包丁の善し悪しを
見極めるためには、
素材とそれを生かすことのできる
職人が作ったかどうかである。
伝統技術であるはずの包丁職人の技術も
近年では大量生産型となってきている。
そのために、
重要工程の「鍛冶」(火入れという)と
「研ぎ」(荒研ぎという)が分業。
生産性を重視するあまり、
時間、労力、熟練した技術が必要とされる
グレードの高い鋼材も生かしきっていない、
*とりあえず使っています包丁*が増えている。
土佐刃物で有名な高知でも
200軒の刃物関連業者の内、
すべてが分業スタイルとなっている。
その中でも唯一。
一貫製造にこだわり、
伝統の技術を守ってきたといえる<迫田刃物>。
親子二代にわたり、
とにかくいいものを作るために
それぞれの工程の技術研鑽を行ってきた。
父であり鍛冶の伝統工芸士 迫田春義氏でさえ、
20年研ぎを学んできた息子迫田剛氏には
「研ぎでは誰もかなわない。」という。
<迫田刃物>が親子二代の体制によって
本当の意味で、
その領域に達したと言えよう。
これこそが<迫田刃物>の真骨頂なのだろう。
時代の流れと共に刃物の価値は、
それを扱う業者でさえ見失ってしまっている。
迫田親子は言う。
「時代の流れに逆らっているのではない。
お客様を大切にしたいだけ。」
その道を極めるために
頑なにこだわってきたものが結果、
伝統を守ることの自負につながってきた。
「これからも。
一生大切に使っていただけるような
包丁を作り続けていきたい」と。