
column

2026.02.21 / 農作物
命のドラマがある畑から*土と向き合い続けた岡田さんの50年
岡田さんの畑は、岡田家が50年の歳月をかけ、土と向き合い続けてきた歴史の記録である。
十五年ぶりに岡田さんの農園を訪ねた。
笑顔でがっちりと握手を交わしながら、岡田さんはぽつりと言った。
「あれから色々あってなあ。親父も死んで、今は一人でやってるんや。」
土づくりは今も堆肥だけでやっているのですか、と尋ねると、
「そう。でもな、考え方はだんだん変わってきて、少しずつ減らしてきたんや。」
昔は堆肥を多く入れれば良いと思っていた。
だが、ある年、野菜が大きくなりすぎて、味が薄くなった気がした。
それから、やり方を変えた。
今は籾殻と菌床を混ぜ、2年間じっくり寝かせた完熟堆肥だけを使う。
投入量は驚くほど少ない。
土を信じるからこそ、入れすぎない。
余計なものを足さない。
「入れない勇気も、有機農業や。」(笑)
夜な夜な土壌分析を続け、ようやくたどり着いた量だという。
「足すのは簡単や。でもな、引くほうが難しい。」
冬の露地のほうれん草は、寒さに耐えて甘くなる。
「カキより甘い」と言われるほどの味になるのは、寒さの中で必死に生きた証だ。
農家はそれを知っている。
だから冬の畑に立つ時、それはただの作業ではなく、命のドラマを見ている時間になる。
圃場を広げすぎて苦しかった時期もある。
だが今は続けるために、畑を選び、削った。
「理想だけじゃ、続かん。でもな――」
岡田さんは静かに言った。
「土は、応えてくれる。ちゃんと向き合えばな。」
自然に教わりながら積み重ねていく――
それが岡田さんの「生き方」そのものなのだろう。
*
2月24日(火)岡田さんの農産物入荷予定です

