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2018.09.10 / 農作物

歴史を知る。学び味わう。「水主米」

水主「みずのぬし」と書いて「みずし」と呼ぶ。

香川県東かがわ市の水主地区は、
水主三山に囲まれた清涼で良質な水が豊富な地区。

その歴史はとても古く、
古代史に裏付けされていることは、香川県民もあまり知らない。

日本書紀や古事記に記された伝説の米所なのだ。

記録によると、
卑弥呼の死後、戦乱を避けた姫が
この地に移り住まわれ、水源を整備し、
渇水に苦しむ民を救ったと記されている。

この地域で祭られる「水主神社」は、現代のパワースポットで。

 

 

 

 

 

 

讃岐で最初に朝廷から神社の最高位を授る(863年)など、
当時の歴史的重要性が相当高かったことを物語っている。

そんな水主地区で、
五世代に渡り、お米を作る近藤さん。

収量を上げるための化学肥料は使用しない。

自然に対し無理をしないこと。
面積当たりの収量を多く採らないことでお米がおいしくなる。

そして、その教えはすべて昔ながらで
「おばあちゃん」から教わったものという。

実直に守っていくことが農業のコツ。

それら近藤さんの言葉一つ一つは、
まぎれもなく素直な気持ち。

この「水主米」もかつては
名前だけのブランドになっていたそうだ。

田畑を受け継ぎ、農業を継ぐことで、
地域の歴史をさらに深く学んだという。

誇れる歴史が地域にある。

この地には、千何百年も脈々と
人と自然が「農」を通じて共生してきたという歴史がある。

これを伝えていくことが、
この地で米を作り続けることなのだろう。

「水主米」の名に恥じない
本当に美味しい米作りがしたい。

 

 

 

 

 

 

近藤さんの農業への思いや営みが、
日本の貴重な原風景を後世に残すことに繋がっている。

暑かった今年の夏を乗り越えて、
美味しいお米になるようにと
近藤さんが毎日夜の冷たい水を引き入れながらとれた新米。

週末は子供を連れて、
水主米のおにぎりを提げ、
讃岐古代史の遺跡巡りに足を運んでみたい。

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